戸陵にそびえる殿堂 典雅な室内の景観
緑り濃き戸室ケ丘に五十数年の歴史をくりひろげてきた本校に、唯一の不足施設であった独立図書館も、去る昭和29年5月、原案まとまってよりここに2年有余の年月を費し、多くの困難を乗り越えて、昨年12月25日をもって完成、校内における内祝が昨年12月15日に行われたが、新入生を迎えた、4月12日より15日までの4日間、開校55周年記念及び、文化祭をかね、独立図書館落成式が行われることになった。なお、当期間中本館は、一般公開することになっている。
本館、落成に至るまでの経過を振り返ってみよう。
一昨年、旧図書館の狭さと、蔵書の重圧によって、すでに30余年も経た木造建築、ことに階下の当直室、会議室、事務室、校長室等が非常に危険状態にあったのでこれを除くため、PTA及び生徒会が音頭をとり5月PTA総会において原案がまとまり、資金集めが始められた。同年8月、県常任委員の視察、昨年2月、最大の難所と称される県議会も順調に通過、資金不足に躓きはしたが、8月16日午前10十時、先生並び工事請負者、ホーム委員、生徒会役員一同、応援団幹部等列席のもとに、戸倉校長自らが鍬を手にし、鍬入れ式を行い建設の運びとなった。
主体工事は柿島土建合資会社、電気工事は加藤電気商会の請負で建築費390万2千円、館内設備100万円、閲覧室、討議室、事務室、玄関、テラスの木造平屋107坪、正面玄関東側に姿を現したのが31年12月14日一ケ年の保障条件の下に、一応完成を見たので、15日校内祝いを行ない紅白の菓子で落成を祝った。再三の県よりの検査の後、本校に受渡され、活用を始め、本館落成式と校外披露を本校55周年一行事として盛大に催す事となったのである。
では、本館構造内部を簡単に御披露しよう。図に示したが校舎と本館を結ぶ東方が正面玄関であり、この玄関内には、第9回卒業生の記念品であるミロのビイナスがかざられてある。正面はガラス張り新刊書陳列書架があり、右の扉を開けると閲覧室、南側から総記、西側に哲学宗教、地理歴史、社会科学、自然科学、北側に工学産業、芸術、語学、文学と十種の書架がある。現在、7、8千の本がおかれてあるが、この書架は1万5千ないし6千の本を納めることが出来そうである。又この
室には、じかに校舎正面玄関より入ることが出来る西口玄関があり、天井には9つの蛍光灯がすえつけられ、書架、机、椅子、掲示板といずれも新調されている。南側、扉を開けて左は受付になっており、借出し、その他読書相談をしている。右の扉の向こう側は、事務室、整理室になっており、常に整理にいそがしい。一番東側の室は討議室になっているが特に研究心のある者は、この室で静かに6千有余の書物をひもとけばよい。またこの室が一番景色が良い所であることをつけ加えておこう。
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